長く歩くと膝に痛みを感じ、さらに最近では足首まで違和感が出てきたという50代のSさん。当院に来られるまでに、すでに半年以上、整形外科や接骨院での治療を続けてこられたとのことでした。
電気療法やストレッチ、マッサージなども試みたものの、「その場しのぎ」に過ぎず、根本的な改善には至っていなかったそうです。
こうした慢性的な痛みに共通しているのは、「本当の原因」が見落とされているケースが多いという点です。
Sさんの状態を詳しく検査したところ、膝そのものに大きな構造的問題は見当たりませんでした。ではなぜ痛むのか? その答えは、太ももの外側にある大腿筋膜張筋(TFL)の緊張にありました。この筋肉が硬くこわばることで、膝の外側にストレスがかかり、歩行時に痛みを引き起こしていたのです。
さらに、その緊張が長期にわたり続いたことで、膝の動きに制限が生まれ、足首にも過剰な負荷がかかるようになっていました。
ではなぜ大腿筋膜張筋が緊張し続けていたのか?
調べていくと、そこには背骨のわずかなズレが関係していました。
背骨は、身体の軸であり、姿勢や筋肉のバランスをコントロールする中枢でもあります。Sさんの場合、この軸にねじれや傾きが生じていたことで、骨盤の動きがアンバランスになり、それを補うように股関節周囲の筋肉が過緊張を起こしていたのです。その結果として、大腿筋膜張筋が常に引き伸ばされ、膝関節に負担が集中していました。
つまり、膝や足首の痛みは、身体全体のゆがみの“結果”だったのです。
当院では、Sさんに対して週1回のペースで整体施術を実施しました。背骨と骨盤の調整を行いながら、筋肉の左右バランスと動きの連動性を回復させる施術を段階的に進めていきました。
初回の施術後には「立ったときの姿勢が楽」と実感され、5回目の施術では「歩いても痛みが8割減った」とのお声をいただきました。そして8回目には、日常生活の中で痛みをまったく感じなくなったとのことです。
このように、症状が現れている場所にばかり注目していると、原因を見失ってしまうことがあります。特に膝や足首といった「末端」の関節に痛みが出ているときこそ、背骨や骨盤といった「中心」のゆがみに着目する必要があります。
私たちの体は、パーツの集合体ではなく、“ひとつながりのシステム”として働いています。だからこそ、局所をいくらケアしても、根本的な歪みが残っていれば再発を繰り返してしまいます。
「どこに行っても良くならない」「痛みの原因がわからない」とお悩みの方は、ぜひ一度、身体全体のつながりとバランスを見直してみてください。あなたの不調にも、Sさんと同じように背骨のわずかなズレから始まる連鎖が隠れているかもしれません。
私たちは“本当の原因”に向き合い、あなたの身体が本来持っている回復力を引き出すお手伝いをしています。どうぞお気軽にご相談ください。