足の骨は、指の骨14個、中足骨5個、かかと部分に7個の計26個(種子骨を含めると28個)の骨で出来ています。
骨が多くなり関節が増えればその分構造としてはもろくなります。もろくなると言うと語弊がありますが、足の骨がもし一枚のひらべったい骨であれば骨の構造的には強くなりますが、その分足の骨の重要な機能である衝撃吸収作用が失われます。
足の骨がこのようにたくさんの骨で構成されているのは、足は二足歩行である人間にとっては必ず一番に着地する部分であり衝撃を一番に感じるところです。
着地の際に衝撃を吸収する体の部位としては、それ以外にも膝関節、股関節、背骨とありますが、構造的には足が衝撃吸収にとても適しています。
今回のTさんは、産後に足を着くだけで痛くなりすり足でないと歩くのすら辛くなってしまいました。
妊娠中ふくらはぎがつりやすくなり、出産後もなかなかふくらはぎがつる症状が治らず、次第に足を地面に着くだけで痛みが出るようになりました。
ふくらはぎがつる、いわゆるこむら返りという症状は下肢への血流不足が原因で筋収縮が勝手に起き筋肉が痙攣するもので、妊娠中はどうしても大きくなった胎児の影響で下肢の血流が悪くなるため起こりやすくなる症状です。
産後も続いていたということは、胎児が影響の下肢の血流不足だけが原因ではなかったようです。
初回の検査で、ふくらはぎの筋肉がとても固く張っていて少し押すだけで強い痛みがありました。
着地すると痛いという足底は、触ってみても普段着地した時のような痛みはなく気持ちいいというくらいでした。
姿勢を診ていくとかかとが浮きそうなほどつま先重心になっており、骨盤の前傾反り腰、猫背が強くなっていました。
妊娠中はお腹が大きくなるためつま先重心になりやすく、産後も抱っこをお腹にバランスをおいて持ち上げるためにつま先重心になりやすいものです。元々運動をしていて体幹が強いママさんのなかには時々つま先重心にならず綺麗に立てている方もいますが、それまで鍛えていた人でも妊娠で少なからず体幹が弱ってしまうことが多く、ほとんどのママさんが同じような立ち姿勢をしています。
足裏の重心が前後に崩れると骨盤、頭部はその重心のズレよりも大きくずれることになり様々な症状の原因になり、産後に手首の腱鞘炎が増えるのも単純な抱っこの量が増えるからだけではありません。
Tさんの状態から診ても、つま先重心が強くふくらはぎの筋肉が過剰に緊張して足底の衝撃吸収作用が失われ痛みが出ているものと推測できました。
ふくらはぎは少し押すだけでも強い痛みがあるために刺激の量は調整しながら緩めていきます。
・ふくらはぎの緊張を丁寧に緩める
・足の関節をそれぞれ正しく動くように動きをつけていく
・足裏の筋肉が正しく使えるように再教育していく
・姿勢のバランスを整えるため骨盤の位置を矯正していく
・立ち方歩き方を正しく練習していく
継続して施術、セルフケアで1か月後には着地で痛むということはなくなりました。
一つの痛みが抜けてくると他に隠れていたものが出てくるもので、その後腰痛、肩こりのケア。育児の疲労のケアで通われています。
産後にお子様連れでいらっしゃる患者さんが多くいらっしゃり、初めて一緒に来院した時は産まれたての赤ちゃんといったお子様が会うたびに大きくなり寝返りをしたりハイハイをし始めると親戚のおじさんの気分で大きくなったなと目を細める当院のスタッフ達でした。