肩が痛くて腕が挙がらないという症状は40代50代に多く起こります。
そのため正式名は肩関節周囲炎というものが40肩・50肩と呼ばれます。
しかしながら、肩が痛くて腕が挙がらないという症状は、必ずしも40肩・50肩でのみ起こるわけではなく他の障害でも起こります。
その中には、40肩・50肩のように治療・体操することで悪化するものもあるため正しく肩が痛くて腕が挙がらない症状の原因を特定する必要があります。
今回、肩が痛くて腕が挙がらなくなてしまったTさんは50代で腕を挙げようとすると肩に強い痛みが走るため50肩では?と思い来院されました。
話をうかがうと、物を拾うために腕を前に伸ばした瞬間に痛くなり当日は肩から肘まで痛みがあったがその後は肩だけの痛みとなったようです。
急に痛みが出てきたこともあり50肩の可能性は低くなりました。
腱板断裂の場合動かすことで症状が悪化することもあるためしっかり鑑別する必要があります。
Tさんの肩の状態を検査すると腱板断裂の可能性も低そうです。
Tさんの肩の可動域を検査していくと、90度まで挙げることは出来るものの45度くらい挙げたところでズキンと強い痛みが走り持っているものを落としてしまうほどの痛みということでかなりの強い痛みであることが想像できます。
Tさんの姿勢と背骨の動きを観察してみると猫背が強く、肩甲骨が外転し巻き肩が強く、胸椎の動きが大変悪くなっていました。
補助をしながら、肩甲骨の位置を正しい位置に戻すとそれだけで腕が90度以上挙がるようになりました。
Tさんのように、巻き肩が強くなっていると肩甲骨の位置が邪魔をして腕が挙げられないという症状が出てきます。
一時的に猫背で肩甲骨が邪魔していても肩が痛くて腕が挙がらないという状況にまでは成りませんが、慢性的にその姿勢が定着してくると実際に腕が挙がりにくくなり肩の痛みも出てきてしまいます。
初回に肩甲骨の動きを改善し、胸椎の調整をするだけでかなり痛みが改善し腕の挙上できる範囲も120度にまで改善しました。
5回の集中治療で痛みがなくなり、その後姿勢の改善で痛みを再発することも今のところないようです。
Tさんのように肩が痛くて腕が挙がらないとなると50肩かと思う方が多いのですが必ずしも50肩ではないことがありますので、専門機関で正しく判断し対処することが重要です。
若い方の中にも猫背で巻き肩のままマウスなどを使うことで、巻き肩が増強されて腕が挙がらない患者さんが増えています。
20代でも肩が痛くて腕が挙がらないという症状が増えています。
本当に50肩になると短くて3か月長いと2年もの間辛い肩の痛みに悩まされることになります。
そうならないように、出来るだけ若いうちに正しい姿勢、知識を身に着けることで未来の50肩を防ぐことができますよ。