karte.69 股関節の痛みでマラソンが走れない

ランナー

マラソンがブームになって数年が経ち、最近は以前ほどマラソン人口の急増は落ち着いてきたようですが、それでもまだまだ東京マラソンなどの都市マラソンは抽選倍率10倍越えの状況です。

当院にもマラソン愛好者の来院が多くあります。

 

マラソン愛好者に多い症状としては、膝の痛み・股関節の痛みが最も多い症状です。

これはマラソンブームが最盛期だった頃、少し前のお話です。

 

初めてのフルマラソンのダメージは大きかった。

前日に初めてのフルマラソンを走ったところ今朝から股関節が痛くて立ち上がれなくなった。痛み止めを飲んでなんとか歩いて来院出来たという20代の女性です。足を着くだけで股関節に激痛が走り、寝返りを打つときにも痛みが走るということ。

 

そのような状況に関わらず、2週間後には他のフルマラソンをまた走る予定でいるということに驚きました。

 

無理せず今回は諦めたら?と話すと、友人と約束しているし次のマラソンの方がメインで今回走ったのは練習のつもりで、どうしても痛むなら痛み止めの注射を打ってでも走ると言って聞きません。

 

スポーツトレーナーとしての経験もある私としては、痛み止めの注射の危険性もわかっていますし、その後に選手生命に関わる怪我になった選手も知っています。

走らないように強要したところで、痛み止めを打って走ったことのないこの女性が無理をして走ることは目に見えています。

 

そこで、本番までは集中して施術を受けること・本番までは不安でもランニングをしないことを約束して施術をすることにしました。

 

股関節痛

幸いにも病院で検査済みで、骨や靭帯の損傷はないとのこと。

 

動作テストをすると、大腿四頭筋の一つである大腿直筋の腱がの付着部位に痛みがあり軽く大腿直筋の緊張を緩めるだけでも痛みが多少軽減するということで、まずは太ももの前部をゆっくり緩めていきます。

 

股関節には、臀部の筋肉や大腿の筋肉、腹部の筋肉などたくさんの筋肉が付着しており痛みの原因の特定がとても難しい部位です。

 

また、股関節の可動域というものも肘や膝の関節とは違い複雑なため原因の特定を誤った状態で施術を続けてもなかなか股関節の痛みの軽減につながりにくいです。

 

股関節の痛みの原因の特定のために当院では、詳しいカウンセリングで痛みの様子を詳しく聞き股関節のどの部位に痛みが出ているのかを細かく特定していきます。

 

と言いますのも、患者さんが股関節が痛いと言っていても、それが実は臀部であったり、足の付け根であったり、実は初めは太ももの後ろに痛みがあって段々股関節の方に痛みが出てきて、今は股関節の痛みだけになったとなるとこれは大きなヒントになります。

 

他にも、はじめは腰が痛くてそこから股関節の痛みが出てきたとなると先ほどの太もも裏から股関節痛になったの話とは別のところが原因となっていることが推測されます。

 

股関節の治療

今回の股関節の痛み場合は、カウンセリング・動作テストの結果により大腿前面の緊張からと特定できました。

 

下り坂の多いコースでトレーニングでも下り坂のコースでスピードトレーニングをしていたこと、日常的に立ち仕事が多くヒールを履くことも多いとのことで大腿の前面が緊張する場面が多いことからも原因が特定できました。

 

初回の施術のあと、足を着くことによる痛みはかなり軽減されましたが、来院前に痛み止めを飲んでいることもあり翌日まで股関節の様子を観察してもらいながら様子をみてもらいました。

 

翌日来院時には、痛み止めは飲まずに来院出来たようですが来院の道中に少し歩いたら股関節に痛みが出てきたとのことで立っているのも辛そうな様子であったので、やっぱりマラソン走るの止めたらどうかと話しても、今日も話は聞き入れてもらえません。(悲しい…)

 

2回目は、初回同様に大腿前面の緊張の緩和と腰椎の関節調整が可能な状態になっていたので関節調整も加えて調整。

その日は、痛み止めを飲んでいない状態だが痛みなく立ち上がることができました。

股関節の治療

結局その後、2週間の間に1日2日おきに合計6回施術を行い本番を迎えました。

結果は先日のマラソンよりも良いタイムで完走。

マラソンの翌日にリカバリーで来院された時には完走賞をもって笑顔で来院されたので一安心できました。

 

2回目3回目と股関節の痛みがどんどんなくなってきて、股関節を気にせず歩けるようになってきたと言っていたのにも関わらず、4回目に来院されたときに2回目の来院時のように立っているのも辛そうな表情をして心配になりましたが無事にその後は順調に改善していきお互いにホッと胸を撫でおろしました。

 

後日談で、実は3回目に股関節の痛みがないから5キロほど走ってみたと告白されました。その日は股関節も痛みなく、足が軽く以前よりも調子が良かったようですが、翌日股関節の痛みが出てきたけれど、最初に本番まで走らないと約束していたので走ったのを黙っていたとのこと。

 

後日その話を聞いた時には「えー!」と少し怒ったふりをしてみましたが、4回目の来院時にそれまでよりもふくらはぎや足底のハリがそれまでより強かったので、この股関節の痛みは約束を破って走ったんだなとうすうすは気が付いていました。

 

私自身もスポーツをやっていて、肩を故障したときにしばらく投球禁止と言われたにも関わらず投げて痛くなった経験があるので、立場上はランニングを止めていたにもかかわらずやってしまう気持ちもわかったのでなにも言わずにいたのはここだけの話です。


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