Sさんははじめ娘さんと一緒に来院されました。
はじめてお会いした時は、失礼かもしれませんが「小さなおばあちゃん」という印象でした。
というのも、頭がガクンと下がってしまい本来の身長よりずいぶん小さく見えました。
半年前くらいから首が痛くて気分が優れないことが多かったようですが、首が痛いとかかりつけの病院で相談すると牽引と注射を勧められ何度か通ったものの良くならず、次第に首の痛みから頭が下がったまま挙げられなくなったようです。
年齢も80代後半ということもあり、本人も半分諦めとこのまま本当にこのままだったらどうしようという不安が強くありました。
首の痛みも改善したいとともに出来れば頭が挙がるようになって、外出も楽しみたいとしっかりとした目標が定まりました。
首の痛みは、病院での検査で危険なものではないとわかっていたので触診するとそれほど緊張は強くなく、首の痛みの原因は首ではなく背中と胸の筋肉と判断できます。
初回の施術後に、首の痛みが楽になったとの言葉。(心なしか身長が高くなった気がするけど・・・。本人特に気づいてないしまあいいか)と次回の予約を入れて帰られました。
2回目の来院時、「娘に帰ってから、頭上がってるじゃない!って言われたよぉ」との言葉。
やはり私の勘違いではなく頭が上がらないという症状も好転していたようです。
その後も週に3回の施術を頑張って続け、数回目には一人で歩いて来院されるようになりました。以前の頭が上がらない状態だと前が見にくくて一人で怖くて歩けなかったとのこと。
首の痛みで気分が上がらない。頭が下がって重いから食欲がしばらくなく体重が減っていたけど首の痛みも楽になり頭が自然に上がっているので食事もできるようになって体重も戻ってきた。
施術をするごとに面白いように体の機能が回復していき、最初の目標の首の痛みを改善するのも早いうちに達成できました。
お孫さんのお世話は大変だとおっしゃりながらも楽しそうに話すSさんの表情がとてもいい顔でうれしさでいっぱいです。
最近は、首の痛みがまたでないようにメンテナンスと今後も自分の足で歩けるように全身のケアをしていきましょう。
今回の、Sさんのように街を歩く高齢者の姿勢を見ていると東京では少ないのですが、腰が曲がってしまったり頭が下がったままになってしまったり、多くの方が年齢のせいとあきらめていますが、多くの場合改善可能です。
どんなに腰が丸まっている高齢者の方でも仰向けになるとまっすぐ寝れることがほとんどで完全に骨が変形しているからではありません。
Sさんの場合は詳しく見ていくと、太ももの筋肉の緊張が強く歩く際に股関節が使えず骨盤がうまく回転しないまま歩いていました。そのせいで背骨の生理的湾曲が失われ猫背になり、首に負担がかかって首の痛みが発生している状態でした。
足は、数年前から痺れがあり病院で注射を受けているけど良くならず、つま先も冷たかったので血液がうまく供給されていなかったようです。
血流を促すように施術すると足のシビレも緩和し、それに伴い歩く時の足の踏み出しもスムーズになったようで、付随して猫背が緩和し頭が上がってきました。
腰が曲がってしまった高齢者の状態を100%元に戻すことは難しいですが、生活が今よりもずいぶん楽な状態に改善していくことは可能です。