karte.64 急性腰痛(ぎっくり腰)でご来院のNさんのケース

ある日の月曜日。開院前の掃除をしていると電話が鳴った。

私:「はい、千歳烏山整体院です。」

 

Nさん「急に腰が痛くなってどうしたらいいかわからなくて電話しました。」

私:「急に痛くなったんですね。足の痺れや足の感覚がないといったことはありませんか?また痛みが楽になる体勢はありますか?」

 

Nさん「痺れはないです。感覚は問題ないです。動くと痛みますが横になっていれば痛みはないです。」

 

私:「それでは、ひとまず危険なものではありません。急に痛くなってびっくりされたと思いますが痛みが出た時の状況を教えてください。」

 

Nさん「朝方、顔を洗おうと前かがみになったら急に腰が痛くなってあまりの痛みで動けなくなりました。その後少ししたら幸いにも動けるようになったが腰がまっすぐに伸ばせない、右側に少し曲がっているような感じがします。

どうしたらいいかわからなかったのでとりあえずネットで調べて電話しました。」

 

私:「なるほど、急に痛くなって一時的には動けないほど腰が痛くなったのですね。その様子だと痛みから避けるために体が傾いてしまっているのでしょう。痛みは強烈ですが危険なものではひとまずありませんので安心してください。」

 

これからすぐに行きたいと言うNさんでしたが、あいにく予約がつながっており夕方の予約をとってしばらく様子をみることにする。

もし痛みの急な変化があった場合は病院にすぐ行くか、当院まで相談の連絡をいただくということで電話を終える。

激しい腰痛

腰痛ガイドラインについて

解説:足の痺れが発症時に足先まで突き抜けるように走ったり、足・会陰部の感覚がない場合は危険な腰椎椎間板ヘルニアによる神経障害、馬尾神経障害の可能性があり早急に整形外科で神経の障害を取り除く必要がある。

腰痛ガイドラインに、腰痛患者を分類する際にはじめに、悪性腫瘍、脊椎感染症、骨折、解離性大動脈瘤、強直性脊椎炎、馬尾症候群などの重大な脊柱病変がないかを分類する必要があります。

全腰痛の5%未満ではありますが、あてはまる場合は注意が必要で早急に病院で診察を受ける必要があります。

 

腰痛レッドライン

■ 発症年齢が20歳未満か55歳超

■ 最近の激しい外傷歴(高所からの転落、交通事故など)
■ 進行性の絶え間ない痛み(夜間痛、楽な姿勢がない、動作と無関係)
■ 胸部痛
■ 悪性腫瘍の病歴
■ 長期間にわたる副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)の使用歴
■ 非合法薬物の静脈注射、免疫抑制剤の使用、HIVポジティブ
■ 全般的な体調不良
■ 原因不明の体重減少
■ 腰部の強い屈曲制限の持続
■ 脊椎叩打痛
■ 身体の変形
■ 発熱
■ 膀胱直腸障害とサドル麻痺

来院時の様子

電話での問診では時間も限られているため全てを確認することが出来ませんが特に危険性のあるものは鑑別する必要がある。

 

来院時

あきらかに痛みが強く足をひきづって来院された。

はじめに電話では確認できなかったレッドラインに該当する部分がないかを確認する。

立位で体の変形はあるもののうつぶせになった際にはまっすぐに寝れる。ほかのレッドラインには該当しないため詳しい問診を始めた。

 

私:「いままでにこのような痛みの経験はありましたか?」

 

Nさん:「もともと腰痛は20代からあり、ぎっくり腰も経験があります。病院で診てもらっても骨などに異常はないと言われて湿布をもらって終わりました。今回も同じだろうと病院に行くことはしませんでした。」

 

私:「なるほど、いままでにも経験があったのですね。」

 

Nさん:「はい、痛くなってはしばらく仕事を休んだりして痛みがだんだんとなくなるんですがいつも鈍痛が残った状態でした。いいかげんしっかり治さないと今後同じようになると今よりもひどくなるのではと心配になってきて今回はしっかりと今回の腰痛をきっかけに慢性的にある腰痛を治したいと連絡してみました。」

 

私:「そうですね、やはり急性腰痛は繰り返す方が多く痛みが取れた後も慢性腰痛として残る方がとても多いです。急性の腰痛は100%治っていきますから安心してしっかりと良くしていきましょう。」

 

まとめ

Nさんのしっかりと治したいという意識が高く趣味のサイクリングも今後も楽しんでいきたいという明確な希望があったため治療もスムーズに進みどんどんと体の状態は改善していきました。

腰痛の80%以上は原因不明と言われています。原因不明の中には筋肉の痛みのほかにも心理的要因が大きくかかわっていることが最近わかってきました。

痛みを恐れる恐怖感や、腰痛にたいする恐怖感から必要以上に安静にしてしまうために筋力の低下を招き慢性腰痛が改善しない要因ともなります。

 

大切なことは、腰痛は危険なものではなくちゃんと体の状態が整ってくれば必ず良くなるものだと認識することです。また、それでも時々痛みが出たとしてもしっかりとした知識があれば誰でも自分で腰痛を治すことが出来ます。

初めは専門家の手を借りて腰痛が危険なものではないという認識をまずしっかりと作り自分で自分の体は治すという認識を持っていただければ体はどんどんと良くなっていきます。

腰痛で悩む方は一度ご相談ください。正しい知識と認識を身に着けて腰痛とバイバイしましょう。


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