肘を握った時に外側(母子側)に触れる出っ張りを上腕外側上顆(じょうわんがいそくじょうか)と言います。
この上腕外側上顆には手首を動かしたり、指を伸ばすための筋肉が付いており、その筋肉の中の一つである「短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)」という筋肉の付け根「腱(けん)」に炎症が起きたものがテニス肘です。
腕を酷使することで、短橈側手根伸筋の肘の付け根に付着する腱に過度の負担がかかり、細かい亀裂や炎症が起きて痛みが起こると考えられています。
テニス肘の発症は主に、オーバーユース(使いすぎ)が原因となるケースが多く練習のやり過ぎや、そもそも加齢によって腕の筋力の低下や肘の腱の強度の低下が要因となります。
テニスのやり過ぎ以外にも、腕を酷使するような仕事を日々行っている人にも発症します。
改善のために最も重要なのは安静にすることですので、テニスなどの運動は一時的に中断して治療に専念していただきます。
テニス肘の起こるメカニズムとして、ラケットでボールを叩くインパクトの衝撃が肘の腱に直接伝わって負荷が大きくなることが考えられます。
このインパクトの瞬間の衝撃をいかに軽減するかが重要な問題になってきます。
40歳から始めたテニスで週に2回(1回2時間)の練習を行っていたところ、じわじわと肘が痛くなってきた。
料理をする際に、フライパンを持つにも痛みが出るようになり家事の様々な動作で痛みが出る。
急な痛みは、うずくまってしまうほど鋭い痛みで日常生活にも支障が出ている。
病院でステロイド注射を打ってもらったら一気に痛みが楽になったが、またしばらくして痛みがぶり返してきた。
そのような状態で来院されました。
検査してみると、上腕外側上顆を触れただけで痛みがあり炎症が強く出ていることが良くわかります。
全身のアライメント検査をすると、背骨の歪みやズレが多くみられました。
背骨のズレがあると、体幹がうまく使えなくなるため、ラケットを振る際に腕だけでスイングすることになります。
また、ラケットを握る力がどうしても強くなってしまうためインパクトの瞬間に必要以上に上腕外側上顆に負担がかかってしまいます。
当院の施術で行ったことは、全身のアライメント調整と肩甲骨から腕の筋肉の緊張緩和、関節の可動域の増大を目的として施術を行いました。
初期は、週に2回の施術で1か月ほどでテニスに復帰できるようになりました。
2か月目以降は、テニスを再開しながら負荷が蓄積しすぎないようにケアしながら徐々に練習の強度を上げていきます。
3か月目には、テニス中はもちろん日常生活にも痛みなく生活が送れるようになりました。
テニス肘の症状は、我慢して悪化させてしまうと日常にも支障がでますし、改善にも時間がかかってしまいますので早めの受診をお勧めします。