ふくらはぎのむくみについての、考察と実際の臨床での様子をお伝えします。
ふくらはぎのむくみに悩む患者様、特に女性に多くみられます。
10代から20代の若年層にも多く、高齢者になるとむくみを長期間放置したことで下肢静脈瘤によって手術が必要になることもあります。
むくみが起こりやすいということは、エコノミークラス症候群を引き起こすリスクも高くなります。
エコノミークラス症候群とは、熊本地震の際などに話題になりましたが、大腿部の血行が悪くなることで血栓が出来、それが肺に跳んでしまうと命にかかわる状況になるものです。
むくみとは言え、甘く考えすぎては良くないということです。
当院では、施術はもちろんご自身で家庭で出来るセルフケアの方法をお伝えしています。
一般的に、ふくらはぎのむくみ対して、ふくらはぎをマッサージしたり、弾性ストッキングによって締め上げて改善するといったセルフケアが一般的です。
しかし、ふくらはぎのマッサージはついつい力が入りすぎて痛めてしまったり、ストッキングが苦しくて寝ている間に無意識に脱いでしまったりと効果が限定的です。
まず、ふくらはぎのむくみがなぜ起こるのか理解しましょう。
血液は心臓から出て全身に酸素や栄養を運びます。
心臓は握りこぶしほどの大きさで絶えず拍動を繰り返していますが、心臓の拍動だけでは足先の末端まで血液を運んでまた心臓に戻ってくるというほどの力はありません。
また、静脈には逆流を防ぐための弁がついており動脈よりは少し血流が流れにくくなっています。
心臓から出て足先の末端まで行った血液が静脈を通って流れようとした時に、ふくらはぎで血流が停滞してしまい、浸透圧の関係で血液の水分である血漿が漏れ出して皮下に貯まります。
これがふくらはぎのむくみのメカニズムです。
静脈は、心臓の拍動よりも下肢の筋肉の伸び縮みによるミルキングアクションと呼ばれる作用で血液を心臓へと戻そうとします。そのため、筋肉量のより少ない女性に起こりやすいのです。
男性でも運動不足や筋肉量の低下によってむくみが起こりやすくなります。
では、当院で行っているふくらはぎのむくみのセルフケア方法は、仰向けに寝て、下腿(ふくらはぎ)を座布団や椅子などの上に載せて高い位置に置きます。
高い位置に置いただけでも血液は流れ始めますが、この状態で太ももを自らの手で大きく揺らします。
揺らし方は自由ですが、決して揉んではいけません。
大きく太ももを揺らし続けると、それまで太ももにあった血液が腹部へ移動するために、下腿の停滞した血液が流れやすくなります。
この方法であれば揉んだりしないので、痛める心配もありませんし、簡単に出来て効果テキメンです。
実際に当院でやり方を指導する際に、行う前と行ったあとでふくらはぎの筋肉の硬さを計測するとかなり緊張度が軽減することがわかります。
ぜひお試し下さい!
上記で解説したむくみのメカニズムは、あくまでも病気ではないという前提があってのセルフケアの方法です。
腎臓の病気や、肝臓の病気でもむくみが起こります。
一時的なむくみや、セルフケアで改善するようなむくみであれば、それほど気にしなくても年に1回の健康診断などで異常がなければセルフケアや体質改善でむくみの改善を目指してください。
足首が見えなくなるほどのむくみや、セルフケアをしても全く良くならないむくみは、早めに医師の診断を受けてください。
むくみの原因は多岐にわたるので、まずは内科を受診してください。