頭が痛くて病院に行ったけれど原因不明と言われて「肩こりじゃないかな~。わからないけど。」のセリフに腹が立った。と言ってやってきたSさん。
頭が痛くて病院に行って、検査を受けて異常なしと言われることは実は結構多いです。
頭痛外来や、頭痛を専門的に勉強している医師なら異常なしで済ませることはあまりないのでしょうが、まだまだ生命に危険のあるものでない頭痛は痛み止めを処方されたりSさんのように肩こりでしょうと言われて血流を良くする薬や筋肉の緊張を和らげる薬を処方されることが少なくありません。
薬を飲んで症状が緩和したりしても、根本の原因がなくなっているわけではありません。
頭が痛い場合考えられるのが、緊張性頭痛・偏頭痛が最も多いのですが病気からくる危険なものもあります。
今回のSさんの場合は、病院で検査を受けてから来院されているので危険な頭痛ではないと判断できます。必ず頭が痛いというときは必ず病院で検査を受けるようにしてくださいね。
Sさんの場合は典型的な緊張性頭痛でした。
緊張性頭痛は、頸肩部の緊張の改善で症状が取れていきます。
しかし、緊張が抜けても緊張している理由、根本原因があるわけでそこがなくなっていないとすぐに繰り返してしまいます。
Sさんの場合は、パッチワークを趣味でやっていて作品展の前には10時間くらい没頭して作業をすることもあり肩首にとても負担を掛けてしまっています。
「パッチワーク辞めないと治らないのですか?」
Sさんにとってはパッチワークが一番の楽しみで、作品展で娘さんやお孫さんに見てもらうのが一番うれしい。
そんな楽しみを奪えるはずもありません。
当院は、「来院される患者さんが、不調の改善だけでなく生涯を快適にやりたいことを笑顔でイキイキと楽しめることをサポートしていくこと」を理念としています。
Sさんにとって、頭痛などの不調に悩まされずパッチワークをイキイキと10時間くらいは簡単に楽しめるようにすることが当院の果たすべき使命と位置付けて施術に臨みました。
やはり原因としては、作業中の姿勢で頭を支えるために筋肉が緊張して硬結(コリのようなもの)が発生してそれがトリガーポイントとなり頭痛を引き起こしています。
作業に没頭すると姿勢なんて意識してはいられません。細かい作業をするときは顔を近づけて作業をすることになります。
施術で固まってしまっている部分を緩めて血流をよくするとともに、作業の合間合間に必ず体操をするようにアドバイスしSさんは本当に頑張って体操をしてくださいました。
ある程度時間をかけて固まってしまった頸肩部はすぐには緩んでくるものでありませんでしたが、薄皮をゆっくりはがすように緩んでいきました。
10回の施術が終わった頃に、「ごめんなさい今日朝に予約を入れているのだけれど夕方に変えてもらえませんか?」と元気のない声で電話がありました。丁度予約が開いていたので変更を受け付け夕方の来院時間を迎えました。
それまで、薄皮をはがすようにであったものの段々と状態が良くなっていたので急に状態が悪くなったのかと心配していましたが、
「頭が痛いのが気にならなくて、気が付いたら朝の5時までパッチワークやってました。久しぶりにこんなに集中してやったもんだから疲れて朝一の予約キャンセルしてごめんなさい。」
朝5時までというのにはビックリしてしまいましたが、Sさんの望む結果が一時的ではありますが達成できたのはとても喜ばしいことです。
私自身が学生時代に体の痛みでやりたいことを我慢しなければいけないことがあったので、患者さんがやりたいことをイキイキと楽しそうに話してくれている姿が一番うれしく感じます。
Sさんが体操を頑張ってくれたのでとてもスムーズに治療がすすみました。
これからも、パッチワーク楽しめるようにメンテナンスしていきましょうね。