「腰痛もちと女の一人旅は足を伸ばしたがる」
by:博多花丸大吉
慢性腰痛をお持ちの方はうんうんとうなずく様子が目に見えるようですが、特に急性の腰痛の時には足を伸ばすことも出来なくなることがあります。
腰痛の程度にもよりますが、急性腰痛の場合筋肉の緊張と腰痛を避けるために膝を軽くまげて腰が丸まった状態になる場合が多いのです。
今回は元々の腰痛を放っておいたら我慢できないレベルの腰痛になってしまったTさんの腰痛改善ストーリーです。
ある日の営業中腰を抱えて痛みで奥歯を噛みしめたような表情で来院されたTさん。
腰痛で歩くのも辛く、横断歩道もわたっている途中で腰痛がひどくなりうずくまってしまう状態とのこと。
我慢して仕事に出ていたがあまりの腰痛の辛さに我慢できなくなり仕事場近くに見えた当院の看板を頼りに徒歩数分の距離をタクシーで来たそう。
強い腰痛があるときは、施術台に寝てもらうとその後立てなくなることもあるためにまずは座って楽な体勢を取ってもらいます。その状態でゆっくりと深呼吸をしていきます。
強い腰痛の時には、体勢を変える瞬間に激痛が走るためそれに備えて体が硬直しています。また腰痛が来ないうちから身構えてしまうため通常の力みの状態とは比べられないほどの緊張が出ていますのですぐに施術を行うことは、相手の力みと術者の力みでより緊張を高めることもあり、腰痛が増すこともあるためその日は施術をしないという選択も必要です。
今回のTさんも激しい腰痛がくるたびに息が止まる状態で正しく呼吸ができませんでした。
痛みの強さ、腰痛による体の変形が強いためまずは病院で腰痛ガイドラインにあるレッドフラッグに当てはまるためまずは病院での診察を勧めました。
腰痛が急に襲てきた時や、急性腰痛で痛みが強い時はまず楽な体勢を見つけゆっくり深呼吸しながら少しずつ動ける範囲を確認しながら、腰痛でもちゃんと動けることを確認していきます。
ただ、なにもせずに辛そうに腰痛で脂汗をかいている状態で表に送り出すには気が引けます。
そこで、強い施術は出来ないけれど少しでも動けるように数分の呼吸の誘導と腰痛の痛みで緊張しきった関節と気持ちを緩めるように声掛けと簡単な関節の調整をし、とりあえず再度タクシーに乗れる状態になってからタクシーを呼び病院へ誘導しました。
翌日、病院で検査を受けたが特に異常はないということで再度来院されました。
さっそくカウンセリングに入ると、昨日よりは座っていても痛くないということで少し安心された表情になっていました。
腰痛は高校時代からで30年以上慢性腰痛に悩まされていたが、仕事柄力仕事もするので周りに腰痛を患う人間が多いため半ば諦めていたということ。
今回のような痛みは初めてでいつもはぎっくり腰になっても1週間もすれば自然に治りいつもの腰の鈍痛が残るくらいで今回も最初はそれだと思っていたけれど1か月しても腰痛は改善しないし最初よりも痛みが強くなって冒頭のように横断歩道が渡れないほどの痛みになってきて仕事もまともに出来ていない状態で本当に困っているとのこと。
動作テストをしてみると腰は痛いのでどの動きもほとんど動かせない状態。
他動テストをすると思ったよりも動かせる範囲は広く、本人も痛みは感じない様子。
一通りの施術を行い再度動作テストをすると最初よりも動かせる範囲が広がり、腰痛もかなり楽になっている。安心した表情が見れて、不安な様子がなくなりこれならしっかりと良くなっていくぞと私も安心しました。翌々日に予約をしてその日は帰られました。
翌々日の来院日にはまた痛みが出てきているとのことだったが、治るという自信が持てたからか表情に不安の様子はなく、腰痛の改善には「自分の身体は大丈夫!」と思えることが大切なのでもう大丈夫だと実感しました。
その後、スムーズに改善していき1か月後には以前から感じていた慢性腰痛も改善し、仕事が忙しかった時は少し痛みが出ることもあるが腰痛は長引かずに翌日には楽になっている。
腰痛を繰り返している人の中には、腰痛があることが当たり前の状態になり腰痛が持病だともいう人がいますが、意識が変わり腰痛を意識して避けようとする様々な生活習慣を改め、腰痛がない自分をしっかりと想像することが大切です。
慢性腰痛は「自分の身体は大丈夫!」と思えることが回復にどれほど強くかかわるのかを身をもって教えてくれたTさんとのエピソードでした。
※このストーリーは本人の許可を得て編集した実際のストーリーです。