karte.2ゾンビ~before→afterなKさん~

GWもあけた5月の中頃の土曜日。次の患者さんを待っているとふらふらとドアをのぞき込む女性の姿が見えました。チラッと中を覗いた目が合うとさっとどこかに行ってしまいました。

その後数分しておそらく先ほどの方と見られる方が来院されました。

 

Kさん「自律神経失調症と病院で言われて現在休職中で、こちらの看板で自律神経のことがかいてあったので来てみました。」

と話すKさんの目に力がない。服装や見た目は20代前半に見えるもののその疲れ切った風貌がとても20代とは思えない、そんな最初の印象でした。

 

その後、カルテを記入してもらいカウンセリングを始めると不調部位にマークをしてもらうカルテの身体の図におびただしいほどのコリや痛み、しびれのマークがありカウンセリング中も不調部位の申し出が止まらない。

よくこれほどの不調を抱えていままで頑張ってきたものだと、なんとかしてあげたい気持ちが沸きあがてくる。

 

Kさんはもともと学生時代から肩こりや、腰の鈍痛、顔面神経痛、顎関節症などがあり顔がしびれ始めた時には病院で様々な検査を受けたが特に異常は見つからず、就職して長時間のデスクワークを始めてから症状はどんどんと重くなり新たな病院で診断されたのが「自律神経失調症」だった。

仕事が激務で休日出勤は当たり前、繁忙期は1か月休みがないこともあったようで毎日ゾンビのようにふらふらと職場に向かう日々で、休職して休んでいるにも関わらず中々体調は回復せず、疲れも寝ても取れない状況が長く続いていると言う。

仕事に復帰できないこともプレッシャーと不安に感じている。

自律神経失調症の治療は病院で処方された薬を飲んで適度な運動と規則正しい生活をするように言われているが、まず夜になると不安で眠れないので朝は当然起きる時間が遅くなる。昼くらいまで寝てしまい日中はだるくて運動なんて出来ないから夜はまた寝れない。

そんな負のスパイラルを抜けれずにいました。

 

カウンセリングでそんな辛い境遇を聞いていて段々とこちらも共感しすぎて暗い雰囲気になり始めるが、施術者側がそれではいけない。共感はするものの元気な世界に引っ張り上げるのが施術者の責任であり存在意義である。

 

たくさん辛い話を聞いた後

 

「大丈夫です!!」

 

カウンセリングしただけで大丈夫ですとは、我ながら突拍子もない自信だと思うが目の前で負のスパイラルで苦しんでいるずぶ濡れのちわわのような人を見捨てられるはずがあるだろうか?いや、ない!!

 

もちろん全く根拠のない自信というわけでなく、自律神経失調症とは多くの場合病院の検査で異常が診られなかった時の最終手段の診断名であることが多く、ひとまず生活習慣が改善できれば必ず体もプラスの方向に向かっていくという確信をもっての自信である。

 

続いていくつかの検査後現状のKさんの身体の不調の原因について説明していく

ストレスを感じる(精神的・肉体的)

自律神経のバランスが崩れ始める

筋肉の緊張が高まり

血流が悪くなる

老廃物の蓄積により痛みやしびれが起こる

痛みがストレスとなる。

初めに戻る

 

自律神経は内臓の働きを調整したり、体温調整を行ったりと様々な体の状態を調整するために働きます。ほとんどすべてが自動調整で行われるため、筋肉などのようにすぐに痛みを発せずすぐに不調に気が付くことがない。

気が付かないうちにどんどん自律神経のバランスを崩していき気が付くころには中々自分で不調から抜け出すことが出来なくなることが多い。

 

まず、Kさんと約束したのが夜眠くないときは寝ない。夜は出来るだけ電気を薄暗くしてテレビなどは22:00くらいで消す、PCは夜間は見ない。携帯電話も同様。

朝はどんなに睡眠時間が短くても8時くらいの目覚ましをセットし必ず起きる。起きたらカーテンを開けて日差しをしっかりとあびる。

日中どうしても眠い時はコーヒーを飲んで15分から30分だけ椅子で突っ伏して眠る。

 

以上を約束した。

人は眠れないとき、眠れないことを不安に思う。しかし眠れなくて死んだ者はいないのだ。眠くないときに無理に眠ろうとせず起きていればどんなに眠れないと言っても2日くらい起き続ければ電池が切れたように眠れるものである。

まずは、強制的にでも睡眠習慣を改善することから約束をし施術に入る。

施術中は数か所痛みでうめき声をあげるポイントがあったが、施術後は心なしか顔色が赤らんで見えた。

3日後の来院の予約をとって帰られた。

不調の程度から診て少々時間はかかるが必ず改善していくと確信を持てた。

ところが・・・・

 

 

 

Kさん「前回施術受けたあと、夕方から眠くて晩御飯中に気が付いたら寝てました。その後もずーと眠くて2日で30時間くらい寝ちゃいました。日中長時間寝ちゃいけないという約束守れませんでした。」
Kさん「でも、昨日は朝すっきり起きれて日中は散歩したり家事をしたりして、夜もぐっすりでした。それで今日も朝すっきり起きれました。」

長くかかるかもなんて予想は、うれしくも外れその後どんどん体の状態が良くなり1か月後には無事、職場復帰を果たしました。

人間の回復力というのは、邪魔をしてるものが外れると堰を切ったようにあふれ出るものと実際に見せてもらった貴重な体験になりました。

 

職場復帰後も相変わらずの激務で週末に来院されると毎回ひどい顔をしているものの施術後は生き返った症状をして帰って行く「ゾンビBefor→after」なKさんのお話でした。

 

※このストーリーは、本人の許可をとったうえで少々脚色しておりますが、施術室で起こった実際の出来事です。