スポーツで腰を痛めて来院されたスポーツウーマンWさんのストーリーです。
ソフトボールのコーチを務め、本人もプレーヤーとして活躍されているWさんは、毎日コーチとしてノックやバッティングピッチャーをこなし週末はプレイヤーとして過酷なまでに体を鍛えていました。
普段の練習中に腰がギクッとなってから腰が痛くて動けない。6日後に大事な試合があるのでなんとかしないといけない。
そんな切羽詰まった状態で来院されました。
ギックリ腰ですので放っておいても2週間もすれば痛みはなくなります。しかしスポーツ選手の場合痛みがなくなるだけで治療は終わりではありません。
不安なく動けるようになること、ギックリ腰になるということは腰以外にも機能不全が起こっていることは間違いないのでその機能不全をしっかりと改善すること。そこの改善が出来ていないと同じように動かした際に痛みが出る可能性があり、またその不安がある中ではベストのパフォーマンスが発揮できません。
初回の検査では、体全体の様子をしっかりと検査し機能不全を起こしている部分を見極めます。
Wさんの場合は、股関節の動きが左右で差がありました。
野球やゴルフなどのように投げる打つの動きに左右さが大きいスポーツをしていると、反復的に動かす方向が一緒になるために起こりやすい状況です。
ストレッチなどで可動域を広げることも大切ですが、静的にゆっくり動かすストレッチでは気が付かない動きの違いが出来てしまいます。
また、Wさんの場合毎日過酷に体を鍛えている影響で筋肉の張りが強く、筋肉がガチガチな状態でした。
まず、ギックリ腰の痛みを緩和するためにガチガチな状態を緩めていきます。
この際に注意すべきなのが、腰の筋肉を緩めたほうが良いのか緩めない方が良いのかということです。
こちらの判断はある程度経験によるところが大きいのですが、腰を緩めることで逆に腰が抜けたようになって立ち上がれなくなる場合があります。
Wさんの場合は、検査をすると腰を緩めない方が良いタイプであったため腰以外の筋緊張を緩和していきます。
運動不足でギックリ腰になった場合、多少改善に時間がかかる場合が多いのですが、Wさんのように運動のし過ぎでギックリ腰になった場合、改善が速い傾向にあります。
実際、痛みは初回の施術後かなり緩和され翌日には日常生活で痛みが出ることはなくなっていました。
その後は、試合当日まで痛みが起こった原因である股関節の動きを改善し、特殊なエクササイズを行い試合当日を迎えることが出来ました。
試合の翌日、調整のために訪れたWさんに試合の結果を聞いてみようと思っていると、来院され顔を合わせた瞬間とてもうれしそうな表情で
「2試合とも勝ちました!!しかも1試合はもうちょっとでサイクルヒットでした。」(サイクルヒットとは、1塁打・2塁打・3塁打・ホームランを一試合で打つこと)
ホームランは初めて打ったからとても嬉しくて早く報告したかったとのことでした。
日ごろからたゆまぬ努力をしているアスリートが活躍してくれるのはとても嬉しいことでWさんの報告は本当に嬉しかったです。
スポーツは体を鍛え、毎日技術の向上のために練習をすることはもちろん大切なことです。そこに体の整備を加えることでパフォーマンスをしっかりと発揮できることをWさんがしっかりと体現してくださいました。
車で例えると、日常生活は一般道での運転です。スポーツは高速道路を走っているような状態のため整備不良があると、高速で走るために問題が発生しやすくまた大事故にも繋がりかねません。
スポーツを本格的に行っているアスリートだけでなく、スポーツ愛好者にも体の整備に関心を向けていただきたいと思います。